なすのカルテ
▪なすについて
ナスはインドが原産地で、もともと亜熱帯性の植物です。これが中国を経て日本に伝えられ、すでに奈良時代には栽培されていました。当時の「東大寺正倉院文書」に、なすを献上したという記録があります。
昔からのことわざで「一富士 二鷹 三茄子」は、縁起の良い初夢の順番を指す言葉です。一富士、二鷹は分かりますが、なぜ、三茄子なのでしょうか。それは、慶長17(1612)年の正月、徳川家康にナスの初物が献上されました。高温作物のナスを冬に作るには、随分と手間暇かけなければ出来ませんでした。この時代の初物のナスは1個が1両もし、江戸時代、正月に初物のナスを食べるのは、最高の贅沢で、よほどの金持ちでなければかなわない夢だったことから、このことわざが生まれたと言われています。
▪なすの選び方
-
濃い紫色でツヤがあり、張っているものを選びます。
-
へたの切り口がみずみずしく、とげが痛いくらいピンとしているものを選びます。
▪なすの保存方法
-
保存は寒さに弱いので冷暗所で常温保存し、2~3日以上の時はラップや新聞紙に包み冷蔵庫の野菜室で保存します。
▪なすの栄養
-
水分が93%と栄養成分は少ないですが、食物繊維、カリウムが含まれます。
-
副腎皮質や肝臓などに存在する機能性成分のコリンも含み、肝臓の働きを良くする効果があります。
-
色素のナスニンは抗酸化作用があります。
▪なすの調理方法
-
油と味噌などの調味料と相性が良いです。
-
丸のまま調理したり皮つきで調理する時は、皮に切れ目を入れると火の通りも早く味も良くしみ込みます。
-
切って使うときは水に漬けてあく抜きをしますが、漬けすぎは良くありません。洋風の時は牛乳に漬けてあくを抜く方法もあります。
▪愛知の伝統野菜
天狗なす
2007年愛知の伝統野菜に追加。
昭和戦前から栽培されてきた奥三河天狗なすは、命名の基となる天狗伝説のある奥三河津具地域を中心に栽培されています。
形は名前の通り、天狗の鼻状の奇形果ができやすく、なすとは思えないほど愛嬌のある形です。普通のなすがマグロの赤身なら、奥三河天狗なすは大トロです。